近年、ゲリラ豪雨と呼ばれる激しい雨による災害が増えています。ゲリラ豪雨とは、瞬間的に大量の雨が降る現象のことで、洪水や冠水などの被害を生み出します。このようなゲリラ豪雨は、どうして発生するのでしょうか。また、ゲリラ豪雨にはどのような対策を取ればいいのでしょうか。
この記事では、ゲリラ豪雨が起きる原因とその仕組み。またゲリラ豪雨の前兆や予測。そして、家屋が雨漏りなどの被害にあわないために、事前にどのような対策を取ればいいのかなど、ゲリラ豪雨についてさまざまな角度から解説していきます。
目次
ゲリラ豪雨とは何ミリ?定義について
そもそもゲリラ豪雨とは?
ゲリラ豪雨とはそもそも気象用語ではなく、一般に「局地的に短時間で降る激しい豪雨」の意味で使用されています。そのため、気象学的にはゲリラ豪雨に対して具体的な定義があるわけではありません。ここでは、一時間の降水量や雨の降り方の強さを比較し、ゲリラ豪雨と呼ばれる激しい雨のことを解説していきましょう。
1時間の雨量(降水量)と雨の強さ
下の表を参考に降水量で考えると、一時間の降水量が50mm以上で、傘が全く役に立たない激しい雨の状態がゲリラ豪雨に当てはまると言えます。
一時間の雨量
(mm) |
雨の強さ
(予報用語) |
人への影響 | 屋外の様子 |
10 〜20 | やや強い雨 | 地面の跳ね返りで足元などが濡れる | 地面一面に水たまりができる |
20〜30 | 強い雨 | 傘をさしていても濡れる | 地面一面に水たまりができる |
30〜50 | 激しい雨 | 傘をさしていても濡れる | 道路が川のようになる |
50〜80 | 非常に激しい雨 | 傘はほとんど役に立たない | 水しぶきであたりが白くなり、視界が悪くなる |
80〜 | 猛烈な雨 | 傘はほとんど役に立たない | 水しぶきであたりが白くなり、視界が悪くなる |
ゲリラ豪雨っていつからある?歴史と各被害について
ゲリラ豪雨という言葉はいつから使われた?
ゲリラ豪雨という言葉自体が使用されたのは、1969年のことだったと言われています。この年の8月に北陸から信越地方にかけて、数日間に渡り激しい雨が降りました。にわか雨のように突然に激しく降り出す雨を軍隊のゲリラになぞらえて、ゲリラ豪雨と呼んだのです。ただ、現在では「瞬間的な大雨」という意味合いの方が強くなっているようです。
データから見る豪雨の歴史
気象庁にはさまざまな気象の過去のデータが残っています。ここでは、過去の豪雨の事例をランキングでご紹介しましょう。一時間で140mm以上の雨が降った記録です。
順位 | 都道府県 | 一時間降水量
(mm) |
起日 |
1 | 千葉県 | 153mm | 1999年10月27日 |
2 | 長崎県 | 153mm | 1982年7月23日 |
3 | 沖縄県 | 152mm | 1988年4月28日 |
4 | 熊本県 | 150mm | 2016年6月21日 |
5 | 高知県 | 150mm | 1944年10月17日 |
6 | 高知県 | 149mm | 2006年11月26日 |
7 | 福岡県 | 147mm | 1991年9月14日 |
8 | 愛知県 | 146.5mm | 2008年8月29日 |
9 | 沖縄県 | 145.5mm | 2010年11月19日 |
10 | 和歌山県 | 145mm | 1972年11月14日 |
各地域の被害
ゲリラ豪雨や集中豪雨が起きると、さまざまな被害が発生します。過去に起きた豪雨災害の事例をいくつかご紹介します。それぞれ甚大な被害がおきました。
- 梅雨前線豪雨(1961年6月)
停滞した梅雨前線の影響により、全国各地に多大な被害を出した豪雨。長野県では木曽川が氾濫したり土砂崩れが発生したりして、多くの死者や行方不明者が出た。
- 豪雨(1983年7月)
日本海側を中心に活発な梅雨前線の影響で大雨となった。島根県では記録的な降水量となり、土石流や洪水の被害が多発した。
- 福島豪雨(2004年7月1)
梅雨前線の活発な活動により、新潟県や福島県で豪雨となった。各地で堤防が決壊するなど浸水の被害が発生した。
- 中国・九州北部豪雨(2009年7月)
中国・九州北部で活発な梅雨前線の影響で豪雨が発生。九州北部では7月の平均降水量の2倍近い大雨となった。
- 西日本豪雨(2018年6月)
台風7号による影響で、四国地方で降水量1800mm、東海地方で1200mmを超えるなどの記録的な大雨となりました。各地で土砂災害や河川の氾濫が起き、死者224名、行方不明者8人の多大な被害を及ぼしました。
このように、ゲリラ豪雨や集中豪雨の災害は浸水や洪水を発生させ、深刻な被害を巻き起こします。2000年に入ってからは、地球温暖化の気候変動の影響で、ゲリラ豪雨の発生率は増えていると言われています。
ゲリラ豪雨はなぜ発生するのか?原因について
積乱雲がゲリラ豪雨を発生させる
ゲリラ豪雨の原因になるのは積乱雲です。積乱雲は、地上の空気が暖かく湿気を帯びていたり、上空に寒気が入り込んだりといった、大気が不安定な状態で地上付近の空気が上昇し、水蒸気が凝結することで発生します。
水蒸気は雨粒くらいの大きさまで成長すると、一気に地上に降り注ぎ、大気の不安定な状態を解消します。
しかし、積乱雲の寿命は長くはありません。せいぜい一時間くらいなので、雨を降らせる時間はその半分ほどです。これが、瞬間的に大雨を降らせるゲリラ豪雨の発生の仕組みです。
積乱雲は、その他にも竜巻や雹、雷などさまざまな気象現象を引き起こします。
ゲリラ豪雨の前兆はある?予測する方法とは
ゲリラ豪雨の前兆とは
ゲリラ豪雨の前兆には以下のような特徴があります。このような現象が起きてきた時には、ゲリラ豪雨が発生する可能性が高いです。突然の天気の変化にはくれぐれも注意しましょう。
- 空が急激に暗くなる
- 冷風が吹いてくる
- 雷が聞こえる
- 大粒の雨や雹が降ってくる
ゲリラ豪雨予測は最新情報を確認して未然に被害防止
集中豪雨はある程度のデータをもとに予測することが可能ですが、ゲリラ豪雨である局地的豪雨は、まだ予測は困難と言われています。
毎日の気象予報を確認することはもちろん、ゲリラ豪雨の前兆が見られた場合は、最新の天気情報をテレビやラジオ、スマートフォンのアプリなどで確認することが非常に重要です。常に最新の情報を得られるようにしておけば、もしゲリラ豪雨に遭遇しそうになっても建物に避難するなどの対策を取ることができます。
天井から雨漏り?ゲリラ豪雨への対策とは
ゲリラ豪雨による雨漏り原因
それではここからゲリラ豪雨による雨漏りの被害についても解説しましょう。普段の降雨と違いゲリラ豪雨のような激しい雨が降った場合は、家屋への影響も深刻です。
ゲリラ豪雨の後に、雨漏りが起きたり、天井にシミやカビを見つけたら要注意。これは雨水が浸透しているという証拠。普段の雨では雨漏りなんかしないのに、ゲリラ豪雨のあとはなぜ、と思うかもしれませんが、原因の一つとしてシーリングの劣化が考えられます。
シーリングとは、外壁材と外壁材のつなぎ目を埋めたり、ドアサッシや窓の隙間を埋めたりしてコーキングするもの。このシーリングは長年紫外線にさらされることで経年劣化を起こします。そのため、普段の雨くらいなら雨漏りなどしないのに、叩き付けるようなゲリラ豪雨の場合は、雨漏りを引き起こしてしまう可能性があるのです。
ゲリラ豪雨から家屋を守るためにチェックすべき場所
それではゲリラ豪雨から家屋を守るにはどうすればいいのでしょうか。まずはゲリラ豪雨によって破損しそうな住宅の場所を常にチェックし、メンテナンスを怠らないようにしましょう。以下に家屋の雨漏りのチェックポイントをご紹介します。
- 雨樋(あまどい)
ゲリラ豪雨のような雨の場合は、雨樋の排水の容量をオーバーしてしまう可能性が高いです。雨樋が正常に動かなければ雨漏りの原因になります。そのため、日頃から雨樋にゴミが溜まっていないか、金具が緩んだり破損したりしていないか、しっかりとチェックしておくことが重要です。
- 窓・ドアサッシ
シーリングなどのコーキング材が劣化していた場合は、住宅の内部に雨水が侵入してきてしまいます。そこから雨漏りがすることも十分考えられるので、点検をしておくことが大切です。
- 屋根・天井
屋根というのは家屋の中でも常に風雨にさらされているため、劣化も非常に速い場所です。ゲリラ豪雨にあって、さらに劣化が早まったことで、一気に雨漏りする可能性は高いです。ゲリラ豪雨の時期になる前に、屋根材に破損やズレがないか、しっかりとチェックしましょう。
天井は屋根の劣化によりすぐに被害を受けやすい場所なので、シミやカビを点検し、雨漏りがしやすくなってないか注意しなくてはなりません。
- 外壁・ベランダ
ベランダに雨漏りがあるのかと思うかもしれませんが、ここも住宅から突き出た場所なので雨の影響を非常に受けやすい場所です。同様に外壁も実は非常に雨漏りがしやすいので要注意です。外壁に亀裂などがあればその部分から雨水が侵入してきますし、塗装が劣化していればそこからも雨漏りの可能性があります。きちんと確認しておくことが大切です。
大切な住宅がゲリラ豪雨の被害に遭わないためにも日頃からしっかりとチェックしましょう!
まとめ:ゲリラ豪雨の知識をつけて自分や家屋を守ろう!
ゲリラ豪雨について、さまざまな角度から解説しました。この記事を参考にゲリラ豪雨についての知識をつけ、ぜひ、自分の身や住まいを守ってください。